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意外と多い?耳管開放症!?
先月3月19日(日)は
滋賀漢方鍼医会
の勉強会が草津市のまちづくりセンターで行われました。
この月は「臨床あれこれ」のコーナーで私が発表の予定になっていました。
それで「耳の疾患」ということで、【耳管開放症】と【突発性難聴】の2題を取り上げさせて頂きました。
ただ私がマイクのスイッチを入れるのを忘れてしまい、録音ができていなかったとのことでした。
そういうことで、ここに少しまとめてみたいと想います。
我々鍼灸治療に来られる人の中で、耳の病で来られるという患者は他の疾患に比べて少ないと想われますし、鍼灸学校の学生の時にも耳の病に対する治療方法など教えて頂いた記憶がほとんど私にはありません。
そもそも大方の患者さんは、耳の病気がはり治療でよくなると思ってはおられないのかも知れませんが…?
漢方の古典には「腎気は耳に通じる」とか、「耳は腎の竅である」とあります。
耳と腎との関係は深く、腎気が充実していれば、耳は正常な機能を保つことができます。
逆に腎に何か病的変化があれば、耳に何かしらの影響が出るのは当然だといえます。
年齢を重ねていくと腰が曲がり、髪は抜け、耳が遠くなったりするのはすべて腎気の衰えから来るものだと言っていいと想います。
それで言えば、高齢になってからの難聴や耳鳴などはある意味老化現象ととらえることもできますし、そうなると完全治癒に導くことはかなり難しいといえます。
しかしながら、今回私が治験発表として取り上げた【耳管開放症】や【突発性難聴】についてはかなり鍼灸治療で効果を上げうるものですし、治癒に導かれている先生も多いということです。
治療としては腎を中心として、その腎と五行での親子関係にある肺や肝の証が立つことが多いように想います。
勿論腎の虚熱から心熱となって症状を起こすことも考えられます。
陽経で耳に関係するものは主に三焦経、胆経、小腸経などでしょうか。
三焦経は耳脈とも言いますし、胆経とともに耳の後ろから耳中に入っており、小腸経は耳の前から耳中へと入り込んでいます。
こういったところを考慮しながらの治療となると想います。
突発性難聴については、以前にこのブログでも取り上げました。
突発性難聴!治療までのスピードが勝負!!
を参考にしてください。
ここではもう一つの耳管開放症について少し述べてみたいと想います。
まず主な症状ですが、耳が詰まったような耳閉感、自分の声が耳に響いたり、呼吸音が聞こえるなどして会話に支障が出たりするものです。
勿論その症状については軽重がありますし、放っておいても自然に治ってしまうものからかなり難治のものまであることは言うまでもありません。
その主な原因ですが、無理なダイエットなどによる急激な体重減少があげられます。
以前に拒食症の患者でこの耳管開放症を併発している方がおられました。
耳管の周りには、管の中を適度に湿らせるための小さな脂肪組織があります。
耳管は通常は閉じているのですが、急激な体重減少に伴い、この耳管を取り囲んでいる脂肪細胞も痩せてしまうことで耳管が開いた状態となり発症すると考えられています。
また妊娠を機に発病することがあり、実際に妊婦の約5人に1人が耳管開放症になるとも報告されています。
この背景にはホルモンの影響が考えられますが、現在のところ正確な原因は判明していません。
しかしこの場合は、出産を経ると症状が軽快することが多いのも特徴です。
また、避妊ピル(経口避妊薬)の服用も耳管開放症の原因として挙げられています。
また低血圧や中耳炎、唾液の分泌が少なくなって口の中が乾燥する、いわゆるドライマウスから来るもの(シェーグレン症候群)、三叉神経の障害が原因となることもあります。
そのほかにも大量の発汗や脱水症状も原因になることがあります。
これは私も経験がありますが、長距離を走ったり、また水泳で泳ぎ込んで多量の発汗をした後に耳管開放症の症状が出たことがありました。
この時、鼻をすするようにすると耳管が閉じて少し治まるようになるのですが…。
でも、これをあまりやりすぎると鼓膜に負担をかけることになり、また鼻汁に含まれるウイルスや細菌が入って中耳炎を起こす原因ともなるのでやらない方が賢明だと想います。
このように、耳管開放症はさまざまな原因によって引き起こされます。
ちなみに一つの目安ですが、おじきをして頭を下げる姿勢を1〜2分続けてみて、耳閉感や自声強聴が軽くなる場合には耳管開放症の可能性があります。
私が治験例として発表したものは69歳の女性で、過去に何度か耳管開放症を繰り返し中耳炎を起こされたこともあり、症状としては中等度以上と想われるものです。
ほぼ毎日発症し、ひどい時は半日以上続くこともあり、そんな時は気分も落ち込んで鬱的になるとのことでした。
治療としては肺を中心に邪正論で治療を行い、1回目の治療後から症状が半減し、5回の治療でほぼ症状は起こらなくなりました。
我々は漢方鍼医ですから、ただ気の流れや経絡の歪みを解消するための治療を行っています。
病症を治そうというよりは、病体を改善させるためにはり治療を行っているに過ぎません。
気血の流れをよくすることは生命力を強化することでもあり、患者自身の病気を治そうとする力を後押しする治療だと言ってもいいかも知れません。
どこまでいっても病気を治すのは患者自身であり、我々治療家は、ただそのお手伝いをしているに過ぎません。
ともかく、耳の疾患については軽いものなら患者自身もあまり気にされていないようですが、耳管開放症などの患者は意外と多くおられるように想います。
疲労や睡眠不足、ストレスといった生活スタイルの改善は勿論のことですし、特に若い人は体を休めてやることがとても大切になります。
そのような中でも、なかなか治らずに悩んでおられる方は、一度漢方はり治療をお試しになられてみてはいかがでしょうか。
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